カスハラ対策法改正2026 ナレッジハブ
事例行政・自治体最終更新: 2026-04-20

行政・自治体の事例

公表された自治体カスハラ条例・総務省通知・公的統計などをもとに、行政・自治体職員へのカスハラ関連事案を整理します。2024〜2025年は条例制定と国調査が急速に進展した時期です。個別事案の法的評価は行わず、公開情報の参考整理のみを目的とします。

免責事項

本ページの情報は公表済み資料の整理であり、特定の事案に対する法的助言・判断を行うものではありません。個別の評価・対応は弁護士・社会保険労務士等の専門家へご相談ください。

A. 自治体カスハラ条例・行政通知(急速進展中)

2024〜2025年は東京都・北海道・桑名市が先行施行、群馬県が令和8年4月施行予定と、都道府県・市町村レベルで条例制定が急加速している分野です。総務省も全国初の大規模実態調査を実施しています。

条例 ★全国初令和6年10月11日公布/令和7年4月1日施行/東京都条例第140号

A-1: 東京都カスタマー・ハラスメント防止条例

顧客等から就業者への業務に関する著しい迷惑行為で就業環境を害するものを「カスタマー・ハラスメント」と定義し、何人もカスハラを行ってはならない旨を明確に禁止する全国初の都道府県条例。全14条+附則。罰則規定は設けず、基本理念・各主体の責務・防止措置の努力義務を規定。事業者に手引(マニュアル)作成や相談体制整備を求めており、対応経過・発言内容・対応時間の記録を残すことがガイドライン上の推奨事項となる。

#全国初#都道府県条例#事業者義務
条例 ★市町村初令和7年4月1日施行/三重県桑名市

A-2: 桑名市カスタマーハラスメント防止条例(全国初の認定・公表制度)

市町村レベルの先進カスハラ防止条例。市長が対策委員会の答申を受け、第8条第5項に基づき「カスタマーハラスメント認定案件」として事案概要を公表する仕組みを設けている点が全国初。市内事業者・就業者向けに弁護士相談を含む専門相談窓口を設置。委員会での事実認定→市長認定→概要公表という段階的対応フローのため、事業者側が提出する事実経過の記録(日時・発言内容・対応経過)が認定審査の中核資料となる。

#市町村条例#認定公表#記録重要
条例令和6年制定/令和7年4月1日施行/北海道

A-3: 北海道カスタマーハラスメント防止条例

北海道内の事業者・就業者を対象とした広域カスハラ防止条例。条例に係る指針(令和7年3月)で、公務員・教員・医師・看護師・介護従事者等を「就業者」に含めて保護対象と明示している点が特徴。暴力・脅迫・SNS上の誹謗中傷等を著しい迷惑行為として例示。就業者の範囲にボランティア・インターン・派遣労働者・外国人労働者を含めており、保護対象を極めて広く取った条例設計。

#広域条例#広い保護範囲
基本方針令和7年3月策定/群馬県

A-4: 群馬県職員に対するカスタマーハラスメントの防止に関する基本方針

群馬県が「一事業者として」自県職員をカスハラから守るために定めた基本方針。県カスハラ防止条例(令和8年4月1日施行予定)に先行して、組織的対応、相談体制、研修、警察・弁護士との連携、記録管理等を明文化。自治体が「事業者」として自ら条例の名宛人となり、職員保護に責任を負うことを明確化した先行事例。基本方針内で「事案の記録・事実確認」を組織的対応の必須要素と位置付けている。

#自治体の事業者性#職員保護
行政通知令和4年12月23日/令和5年12月27日/総務省自治行政局 総行女第34号/第32号

A-5: 総務省通知「地方公共団体における各種ハラスメント対策の徹底について」

労働施策総合推進法等に基づき、地方公共団体が各種ハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラ・カスハラ)防止の雇用管理上の措置義務を負うことを改めて通知。未措置団体に対し、法律上の義務が履行されていない状態であると指摘し、速やかな対応を要請。地方公共団体が「使用者」として労働施策総合推進法30条の2の措置義務を負うこと、未対応は違法状態であることを明示。相談体制・再発防止策とあわせて、事案記録の適切な管理を要請。

#総務省通知#措置義務#記録管理

B. 行政資料・公的対策事例

国・自治体・公務員労組による公的カスハラ対策資料を整理。東京都介護職員総合相談窓口の開設、総務省取組事例集の公表、行政評価局による窓口対応指針など、2024〜2025年に重要資料が集中しています。

対策 ★最新令和7年4月21日開設/東京都福祉局

B-1: 東京都 介護職員カスタマー・ハラスメント総合相談窓口

東京都カスハラ防止条例の施行(4月1日)に合わせ、都内介護施設・障害福祉サービス事業所等の職員・管理者を対象としたワンストップ専門相談窓口を開設。平日9:00〜17:30、法的対応が必要な場合は弁護士相談を案内。利用者・家族からの暴力、言葉の暴力、介護サービス提供妨害行為等を対象。条例施行とセットで相談インフラを整備した好事例。

#相談窓口#介護特化#条例連動
事例集令和7年4月25日公表/総務省自治行政局

B-2: 地方公共団体における各種ハラスメントに関する取組事例集

地方公共団体で効果が感じられたハラスメント対策の取組事例を、都道府県・市町村別に整理して公表。相談体制の改善、外部弁護士の参加、ハラスメント被害処理委員会、内部相談員研修・ロールプレイ等の具体例を収録。沖縄県うるま市のカスハラ対策事例等、自治体別取組を紹介。他自治体が参考にできる国発の事例集。

#総務省#事例集#ベストプラクティス
対応指針令和7年4月/総務省行政評価局

B-3: 行政相談における「業務の範囲や程度を明らかに超える苦情相談」への対応

行政相談窓口において、業務の範囲を超える要求・社会通念上程度を越える手段・態様による要求への具体的対応方針を示した資料。侮辱的発言・人格否定発言への対応として、①距離確保を最優先、②やめるよう求める、③やめなければ警察通報を予告、④応対打ち切り・警察通報、という段階的フローを明示。現場で即使える対応マニュアル。

#対応フロー#警察通報基準
労組マニュアル2023年2月/全日本自治団体労働組合 総合労働局

B-4: 自治労「カスタマーハラスメント予防・対応マニュアル」

公務職場における悪質クレーム・カスハラを「公共サービスの利用者等による必要かつ相当な範囲を超える言動によって、労働者の就業環境が害されること」と定義。2020年10月実施の自治労全国調査結果を踏まえ、各自治体で措置すべき事項(対応記録、応対打ち切り判断、組織的対応、警察連携等)を体系化。公務員労組が作成した実務マニュアルとして参照価値が高い。

#自治労#実務マニュアル

C. 業界統計(被害実態)

C-1: 地方公務員のカスハラ被害率(総務省 全国初調査)
  • 地方公務員 (過去3年以内): 35.0% (民間10.8%の3倍超)
  • パワハラ被害率 (過去3年以内): 15.7%
  • 調査規模: 20,000人対象・11,507人回答
  • 調査時期: 令和7年4月25日公表
総務省 地方公共団体における各種ハラスメント職員アンケート調査
C-2: カスハラ被害の頻度
  • 週に数回: 7.1%
  • ほとんど毎日: 2.3%
  • 合計 (週次以上頻度): 約1割の職員
総務省調査/自治労書記長談話引用(2025-04-25)
C-3: 自治労2020年調査(国調査に先行する基礎統計)
  • 公務職場でカスハラ発生: 4分の3の職場
  • 被害者のうちストレス経験: ほぼ全員
  • 強いストレス経験: 約3分の2
自治労 職場における迷惑行為・悪質クレームに関する調査報告書(2021-08)
C-4: 総務省全国調査の詳細
  • 調査対象: 388の都道府県・市区町村を無作為抽出
  • 対象人数: 常勤14,191人+非常勤5,809人 = 20,000人
  • 回答: 11,507人
  • 意義: 国による地方公務員向け初の大規模ハラ調査
総務省 結果ポイント PDF(令和7年4月25日)

編集方針

本ページの事例は公的一次資料(条例本文・総務省通知・公的団体調査)のみから整理しています。報道記事(二次情報)は著作権配慮のため採録していません。事業者・職員個人への評価は裁判所・行政・当事者の判断に委ねられるべきものです。

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